「三つ子の魂百まで」が生み出す勘違い
私が子供を産み、母となった時。
子育てが始まり一人目は初めてなことだらけで。
神経を使い、それはそれはきちんと育てようと思う日々でした。
わからないことだらけで、自分の身体も産後で言うことを聞かず、
誰も手を貸してくれる人はおらず、泣くばかりの我が子を見て
ただただ途方に暮れる毎日でした。
一緒に泣いたり、わかんないよ・・・・・・って問いかけたりしました。
それは母になった自分にとっての、一番最初の試練でした。
ようやく子育てにも馴れて、子供が自分の足で歩いたり、少しずつ会話ができるようになってきたころ。
周りから言われることわざがありました。
「三つ子の魂百まで」
3歳頃までに人格や性格は形成され、100歳までそれは変わらない。
という意味です。
ですが、多くの人がその意味を間違えて捉えてしまい、ことわざだけが一人歩きしてしまっているような印象を受けました。
「3歳までに身につけたことは一生忘れない。」
これは、間違いです。
この間違いで捉えられていることによって、
3歳までにしっかりしつけをしなければいけない。
そう解釈して厳しく子供に接する人がいます。
現に、私の夫や義理の両親もそんなタイプでした。
昔から言われていることわざや教訓は、そのまま引き継ぎそのとおりに育てる。
地方の文化やしきたりなども色々ありましたが、
一番最初に口酸っぱく言われた言葉はこれでした。
そして、いつの頃からかそのことわざを気にした夫は、子供を強く叱るようになりました。
叱っても、理由が叱られて当然のことをしているからだと止められず、
逆に叱らないと義理の両親に何を言われるかわかりませんでした。
私は強く叱ることはありませんでしたが、
そんな夫を止めることはできませんでした。
泣きじゃくる子供を後で抱きしめてあやすしかできませんでした。
そして、やめてほしいと告げると夫は必ず言うんです。
「俺だってキツく叱りたくはないけど、3歳までにしっかりしつけないとその先じゃ変わらないから遅いんだよ。」
何を言っているのかさっぱり分かりませんでした。
その当時は、そんなことわざがあることをとても憎みました。
どうしてこんなに小さく、まだ人生経験も浅い言葉もしっかりしゃべれない子が強く叱られ続けなければいけないのか――。
そんなことのために、この子を産み育てているのではないと思いました。
そしてなにより、その子の人格・性格を大人達の手で強制的に作りだそうとしていることに無性に腹が立ちました。
なにが、三つ子の魂百までだ――と。
その当時は子供のことで一杯一杯で、しっかりと意味を調べたりすることはできませんでしたが、感覚的におかしいことをしているというのは分かりました。
間違っていなくとも、おかしいと思っていたと思います。
成長した今、子供は幼い頃に叱られた記憶が消せずにいます。
夫はもう強く叱ることはなくなりましたが、
この世で一番嫌いで恐いものは「パパの怒鳴り声」です。
地震や雷、鬼よりも恐い物です。
そして、幼い頃に叱られ続けた子供はかなり内気な性格になりました。
もともとの性格が大人しく静かな子なのだろうと思いますが、
周りの言うことには大人しく従い、自分の意見をしっかりと持てず、
なかなか自己主張ができずにいます。
学校に行きたくなくなり悩んでも、
なかなか相談してくれなかったりしました。
本当に体調面で苦しくなってしまうまでは、
どれだけ悩み苦しんでいたのか気づけなかったです。
母親なのに、子供のことをわかってあげられなかった。
子供の助けてという声が聞こえなかった。
今、私が後悔していることです。
そして思います。
大人がしっかりしつけようとしなくても、
子供は素直に育ってくれます。
子供らしい本来ある性格と、周りを思いやる気持ちは
そっとしていても育っていってくれます。
それがその子の性格であり、
その子らしさを育てる事に繋がるのかなって思うんです♪
叱ると怒るが違うように
しつけと押しつけは違います。
幼く純粋な心を、
豊かにのびのび育てていくのが大切なんだと思います。
ことわざや教訓も大事ですが
そればかりに囚われたり、
勘違いしないようにしましょうね。
(つづく)