呼び出された理由は、まさかの・・・
「話があるから来て欲しい」
そう連絡を受けたのは、ある日の20時ごろでした。
突然の電話で呼びつけられ、義妹の働いているお店まで向かいました。
義兄と2人で経営しているコンビニでした。
夜遅くにもなると、田舎のコンビニはお客さんの数がとても少なくなります。
レジで接客している店員さんにとっては、余裕の出てくる時間帯です。
ましてや、経営者側ですので自分達のやりたいように接客もでき、ある程度の自由はききます。
そんな居やすい環境というのもあり、近所に住んでいる私も簡単に呼びつけられるということです。
少しは遠慮して欲しいなぁと思う事もありますが・・・・・・。
急に来て欲しいと言われ、話したいと言われても私には何の話がしたいのかがよく分かりませんでした。
大方、娘の悪口をまた言われてしまうのではないかと。
仕方なく用意をして私1人で深夜のコンビニへ向かうことにしました。
お店に入るとすぐのレジに、義理の兄と妹が立っていて私に注目しました。
そのままレジ横で話し始め、バックヤードにまで場所を変えたりして話し込みました。
内容は、やはり娘のこと。
そして、私の夫の事でした。
相手は義理の兄と妹ですので、夫は次男になります。
よく知れている仲ではありますが、正直言って夫とは兄妹間の仲は悪いです。
娘が学校に行かなくなったことで、義父の機嫌が悪いということ。
娘が学校に行けないのは、夫の生活の仕方が悪いんだということ。
簡単に解釈すると、そんな感じの内容でした。
その話は永遠に続き、気づくと22時を回っていました。
私はその2時間もの間、永遠に娘と夫の悪口を聞かされ続けました。
義理の家族は、常に父親の機嫌に左右されて生活していました。
孫が学校に行かず、食事に連れて行っても手を付けずに帰ってしまう――。
そんな事があったりしていた時期でしたので、それに腹を立てているのだと。
そんな娘にしてしまったのは、夫にも問題があるのだと。
それをどうして私に言ってくるのか?
結果的に、直接には言いませんが私も悪いのだと思っていたのだと思います。
特に夫に対しての悪口は酷く、変われるように気がつけなければ改善はされないなどと色々な事を口々に聞かされました。
よくもまあ、そんなにツラツラと他人の悪口が出てくるものだなと心底呆れてしまいましたが――。
一応は私も嫁の立場ですので、2人との接し方は分かっているつもりです。
反発は一切せず、そうですよねぇ・・・・・・と相づちを打ちながらこくりこくりとひたすら聞いていました。
というのも、自分の意見が全て正しいと思っている人たちだからです。
言い返したところで「でも、だって」が始まります。
仕舞いには大声で怒鳴られてしまいますので、私はうんうんと共感しながら話し込むしかありませんでした。
ようやく話し終わり、家に帰った頃には大きな脱力感と虚しさが襲いかかりました。
永遠に2人から聞かされ続けたのは、私の愛する夫と娘に対する不満と悪口。
心底、呆れましたし、悲しいの一言でした。
遅くなったので夫に不審がられ、何の話だったのかと問われましたが、とても説明する気にはなりませんでした。
「どうせ俺の悪口言ってたんだろ」
ご名答です。
何も言わずにそのまま不貞寝しました。
泣きながら、娘の寝顔を見て頭を撫でました。
夫にも何も伝えずに大丈夫だと言いました。
どうして私ばっかり・・・・・・と思ったりもしましたが、それ以上に悩んでいる娘と夫が可哀想でなりませんでした。
と、言うのも。
娘よりも先に、夫の方が悩んでいたからです――。
(つづく)